第一章・巡る運命(さだめ)

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少女はベッドからゆっくりと体を起こす。その拍子に目尻に溜まった涙がツゥ、と頬を伝った。 『………私の夢はいつも同じ場所で終わる…私の記憶が、そこで終わっているから……』 少女はそっと首筋に触れる。そこには、斜めに細長い痣があった。 「………志乃介様…未だに会えないのは、私が前世で犯した罪のせいなのですか…?」 目を瞑り、夢の中で桜美に寄り添っていた男に語りかけるが、男は微笑むだけで何も言わない。 「…やっぱり、何も仰って下さらないのですね……」 少女は小さくそう呟くと、自分の頬を2、3度叩き、ベッドから出る。 彼女の名前は如月美桜(きさらぎみお)。ごくごく平凡な家庭に生まれ、鳳高校に通う17歳の女子高生なのだが、一つだけ他人と違うところがあった。自分が生まれるずっと前の記憶…いわゆる前世の記憶というものが残っていて、前世から好き合っていた男・志乃介が今の世に生まれ変わっていることを信じてずっと探し続けているのだ。 しかし、この広い世界で本当に生まれ変わっているとも分からない男を見つけ出すというのは先の見えない途方もない話で、未だに志乃介の生まれ変わりには会えずにいた。
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