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「へっ、こりゃ好都合だぜ。桜美は大切な商品だ…男の方に暴れられて桜美に怪我でもされたら困るところだったが………」
木々の間から姿を現したのは、桜美がいた遊女屋の用心棒・武田八雲だった。
「志乃介様!志乃介様っ!!」
桜美は倒れた志乃介の体を揺すり起こすが、志乃介は桜美の声に反応を示さない。
「桜美、よくも店を抜け出してくれたな?しかも男付きでよ…主人は大層お怒りのご様子だったから、店に戻ったら二度と逃げ出せないようにされるぜ?覚悟するんだな?」
そう言いながら八雲は桜美の手首を掴み、志乃介から引き剥がす。
「嫌っ!離してっ!!」
八雲は暴れる桜美をそのまま担いで連れて帰ろうとすると、不意に足首を掴まれた。八雲の足を掴んだのは、背中に矢を受けた志乃介だった。
「離しやがれ!この死に損ないが!!」
八雲は志乃介の手を振り払おうとするが、余程強く握られているのかなかなか振り払う事が出来ない。
「…離すのは、お前だ………桜美を、離せ……!」
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