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桜美が志乃介に駆け寄ると、すぐに志乃介を抱き起こす。見ると、八雲から受けた無数の傷からおびただしい量の血が流れている。
「志乃介様っ!志乃介様っ!!」
「………桜美……大事、ないか…?」
桜美の声に、志乃介はうっすらと目を開けて小さく呟く。
「はい、桜美は無事です。志乃介様…なんて無茶な事を………」
桜美の目から大粒の涙が零れ、志乃介の頬に落ちる。
「…すまない……お前を泣かせるつもりではなかったんだ、本当に………」
「志乃介様、もうお話にならないで下さい…八雲は桜美が仕留めました。ですから、他の追っ手が来ない内に傷の止血をしてここから離れましょう…」
桜美は着物の裾を破くと、その布を志乃介の肩口にキツく縛り付ける。
「………桜美が、仕留めた…?」
「はい、八雲もまさか私が何かしてくるとは思っていなかったのでしょう…手は拘束されていなかったので、懐に隠してあった小刀でつい…八雲の胸を刺してしまいました……」
「そう、だったのか…桜美、お前にそのような仕事をさせたくはなかったが………お前には命を助けられたな……」
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