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「そういえば翔さん。左腕すみませんっ」
さっきまで俺をあやしていたアリスが急に頭をさげて謝ってきた。
あ、そういえば俺左腕アリスに消されたんだっけ。
「いやいや、頭あげてよ。命あるだけで十分だからさっ」
微塵もそんなことは思ってないけどね。
「そ、そうだアリス。魔法とやらで俺の左腕は治せないのか?」
なんとなく希望が生まれたので聞いてみると、なんとも絶望的な答えがかえって来た。
「左腕の残骸があれば可能でしたが、完全に消し飛ばしてしまったので・・・魔法は無から有は生み出せないのですよ。」
そう言ってまた暗くなってしまうアリス。
俺は何やらかしてんだよぉおおっ!
なんとか場を明るくしようと考えていると、近くの茂みから声が聞こえてきた。
「だ、誰だ?」
俺は茂みの方に行き、声の主を探してみる。
何かが俺の横を高速で通り抜けた。
次の瞬間俺の後ろで悲鳴があがった。
おいおい。なんで展開が急なんだよっ!お約束だってか?
俺は悲鳴の主、アリスを助けるため再び後ろに振り返った。
「おいっ!なに騒いでんだよっ!黙りやがれ!」
「うっうるさい!貴方達、早く汚らわしい手を退けなさいっ!」
「いいから黙れってんだよっ!」
アリスを捕まえていた男がアリスの頬にビンタをかました。
―――プツン
翔の中で何かがキレた。
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