盗賊とピオスの書

Ⅰ.盗賊メリー

　
　ちょいとこの学院について説明をしておこう。

　この学院は４年制で、神術についての知識を学ぶとこだ。他にも数学や国語表現などの必修科目もあるが、俺に言わせればそんな言葉遊びや数遊び、将来なんの役にもたたねぇ。時間の無駄だ。

大事なのは神術の知識と……身を護る術。将来自分の身も護れねぇようじゃ、大切な″モノ″すら護れねぇからな。

　ああ、神術っつうのは″神より授かりし力″。神の持つ能力を授かる訳だが、使い勝手のいいもんじゃあない。世界に数いる神様を召喚し、契約し、力を貰う。召喚するための儀式ってのがまた面倒で、神様によって方法が違う。序列の高い神様のが儀式が面倒で難しいっつう在り来りな話だ。

んで、大体学生の４年生になったら特別授業で１週間期間が設けられ、自分の召喚したい神様の儀式を行うんだが、それが明日からって訳だ。みんな楽しみでしかたないらしい。浮かれやがって。

　そんなこんなでこっそり前夜祭を抜け出し、寮に向かってる訳なんだが、……夕食はどうしよう。造るのは面倒だが、確かカップラーメンのストックが切れてたな。

経済的に問題はないが、弁当買いに行くのも面倒だな。……とも言ってられないのが現実だ。急遽進路変更。弁当屋へ行こう。