Ⅰ.盗賊メリー

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   近くにある弁当屋に歩を進める途中、ふと視線の射止まった先に、一組の親子を見かけた。   「ねぇねぇお母さん、今日の夕飯なあに?」   「今日はねぇ、ミナの大好きなシチューよ。お父さん待ってるから早く帰ろうね」   「うん!」    何気なく、どこにでもある親子の会話だが、俺の闇を蘇らせるには十分だった。   『お父さん達が待ってるから早く帰ろうね』   『きゃあああああ!!』   『なんで、父さん……母さん……』      茫然と立ち尽くす俺を現実に引き戻したのは、携帯の着信音だった。   「よぉメリー。お前明日から暇だろ?オレの儀式手伝ってくれよ」   「……」   「おい、聞いてんのか!?」   「あ、あぁ」
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