「野球なんかやりたくない」

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由宇は物心ついたときにはバットを握っていた。とは言ってもやっていたのは自分の家のバッティングセンターで打ちっぱなしである。 始めたきっかけは由彦がゲームなどの高価な玩具に目をいかせないためにやらせたのがきっかけである。 きっかけはそんなものであったが、由宇はすっかりバッティングにはまってしまい、自分の家であることをいいことに由宇は暇さえあればバッティングを行っていた。 しかし、由宇が楽しいと思えたのはバッティングであって、野球ではなかった。いくらバットを握ったとしても野球への興味には繋がらず、従ってキャッチボールなどをやろうとも思わなかった。 また由彦自体も将来の玩具代をけちるのが目的であったため、由宇に野球をやらせようとまでは思わなかった。 いくら由宇がバッティングをやっていても、野球チームに入れようとしたり、キャッチボールの相手を買って出ることはなかった。(新たな出費を嫌がったというのも理由にある) そして由宇はひたすらバッティングを行い、野球には興味を持つことなく今日まで至る。
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