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――だがしかし、自分は大きな間違いをしたのでは……と、由彦は息子がバッティングをしている姿を見ては最近よく思う。
バッティングセンターを経営している身ながら、由彦には野球経験はなかった。由宇と同様にキャッチボールすらやったことがない。バッティングセンターは父から譲り受けただけだった。由彦自身は興味はなかった。
野球はテレビで高校野球やプロ野球を見る程度。しかし、そんな由彦でさえも由宇のバッティングに才能を感じずにはいられなかった。
ただ上手いだけではない。言葉には出来ないが、何か他の奴には無いものを息子は持っている。
野球をやったことをない奴がこんな鋭いスイングをするだろうか?自分はたとえ無理やりにでも幼い息子を地元の少年野球チームに連れていくべきだったのでは?
いや、そこまでしなくても息子とキャッチボールをして、野球に興味を持たせるべきだったのではないだろうか?
息子のスイングを見る度に、自分は野球界に対して何か重大な過失をしてしまったのではないか?――そんな気持ちになるのである。
もし野球に神様がいるのならば、なぜ自分にすべき事を教えてくれなかったのだろうか、と思う。
このまま由宇はバッティングセンターのホームラン王で終わるのだろう。
そして大勢の人達が辿るであろう人生を生きるのだ。
たとえ、人に出来ないことをやってのける力を持っているとしても。
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