「野球なんかやりたくない」

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☆ 由宇の通う私立愛国学園高校は全校生徒が1000人を越えるマンモス校である。 部活動に力を入れており、特に運動部は殆どの部が全国大会の常連として知られているスポーツ強豪校である。 由宇は通学が楽だという理由と入学のしやすさ(由宇のいる普通科は偏差値が低い)で、この高校を選んでいる。由宇の家から徒歩20分圏内なので登校は非常に楽だ。 「あー!!腹へったわ!」 教室に入った由宇の目にまず飛び込んできたのは、「腹へった」と連呼しながらソフトボール大のおにぎりをがっついている慶介の姿だった とはいえ、珍しい光景ではない。入学して以来毎日目にしている。他にも食べ物をほうばっている男子がいるが皆、何かしらの運動部に属している。 手にしているのがパンだったり、弁当箱だったりしているが皆一様にひたすらがっついている。先生が来る前に食べなければいけないので必死だ。 「お、ゆふおふぁほう」 「聞き取れねぇから食ってからでいいぞ」 由宇は慶介の隣に着席した。二人は隣同士である。
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