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大げさに言えば、覚悟が出来ていた。
何かに熱中するということは執着することだ。他のなにもかも寄せ付けずただ一つそれのみに集中する。
一つの可能性を追い求めるということは、可能性を狭めるということにも繋がる。自分は可能性を広く持っていたいのだ。……などと最近の由宇はよく内心で言い訳をする。
しかし、実際に熱中している人間を目の当たりにするとそんな屁理屈があまりにも情けなく思えてくるのだ。
☆
放課後。由宇は中々下校せず、教室で悪友達と日が暮れるまで時間を潰していた。だが、教師に注意され、しぶしぶ下校することにした。
夕焼けが空をオレンジ色に染めていた。もはや下校する生徒はあまりおらず、由宇達だけが校門に向かって歩いている。
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