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由宇は小学生が100キロの球をいつ打ち返すのだろうかとなんの期待を持たずに予想しながら、閉店の時間を待った。
「徳用チケットをくれ。2000円分」
ぼけっとしていた由宇をはっとさせたのは、知り合いの声だった。
カウンターを挟むようにして、一人のスポーツウェア姿の高校生が立っていた。
服の上からでも分かる無駄な肉のないすらっとした体に厳しく引き締まった顔つき。高校生特有の浮わついた感じなど一切ない。むしろその凛とした雰囲気は古来の武士を思わせた。
彼は篠宮 慶介と言い、由宇のクラスメイトである。
二人が通っている愛国学園高校は野球の強豪で知られており、過去には甲子園にも幾度か出場したことがある。
慶介はその愛国学園野球部に所属しており、驚くべきことに、強者ぞろいの野球部において、一年生にして既に試合ではレギュラーで活躍している。
もちろん学内での人気は高く、由宇とは天と地の差がある。
「なんだ、部活上がりか」
由宇は慶介が肩からかけているバットケースとスポーツバッグを見回して、言った。
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