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コースは全8コースあり、奥から二番目のコースは150キロのコースである。
150キロのコースはもちろんあまり使用されることは少ない。やるとしても好奇心でやってみるような人達ばかりである。
慶介が入ってすぐ、センターに快音が響き始めた。慶介は次々と出される150キロのボールを全て真芯で捉え、綺麗に打ち返していた。
ある時は右に。ある時は左に。様々な場所にボールが飛んでいく。もちろん、適当にやっているのではなく、何かしらの課題を持って打っているのは慶介の真剣な表情から伺える。
慶介が打ち始めてしばらくすると、他のコースの人達がなんだなんだと興味を持ち始めた。150キロのコースはあまり使用されることがないので物珍しさがある。ましてやそれを完璧に打ち返してるとなるとなおさらだ。
「おっ!?篠宮君やってるね!」
やたら脂でおでこが光っている太った男が由宇に話しかけてきた。
この男は商店街にある小さな文房具屋の店主でバッティングセンターの常連である。ちなみに高校野球ファンで、地元の愛国学園を由宇が生まれる前から応援している。
ずっと80キロのボールに苦戦していたのを由宇は見ていた。最近、メタボ対策だと言って頻繁にここを訪れている。
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