第一章

2/2
前へ
/2ページ
次へ
『…より、さらに力を入れ、島中を捜索しております。次のニュース…』 「だからさ、ほら!ニュースでも言ってるだろー?」 いつもの行きつけのカフェで俺は心を浮かせる。 「だからお前は、ダメなんだ。そんな事で心を浮かつかせるからいつまでたっても…」 「まぁまぁ…、そんなのただの思い込みぐらいだろ?そんなことなんて、ぜってぇねぇって。」 けれど、友人の二人は呆れたように接する。 いつも俺を馬鹿にしている、リュク。俺とリュクの仲を頑張って保っている、パリス。 「とりあえず、そんなの信じてる暇があるなら、課題を済ませたらどうだ?」 課題。 俺達は王国に仕える龍騎士と呼ばれる、王国最強の騎士候補生。 候補生なのでまだ龍騎士にはなっていないので、課題といわれる任務を果たさなければならない。 一定の任務を果たせば、クラスが上がり龍騎士に近づけるという仕組みになっている。 ちなみに俺達のクラスは8。10クラス編成で、クラス1になり候補生卒業任務を果たすことで、龍騎士になれる。 けれど、クラス1になるには凄い任務をやらなければいけないという噂がたっているほどだ。 年々、クラスを上がる候補生が減っているのは、最近魔物が異常に強くなり、任務が果たしにくくなっているからという話だ。 「だってさ、あの任務地…魔物が強くなってるって…」 俺は椅子に座りバナナラテの入ったコップのストローをグルグルと回した。 「俺も手伝うっていってんじゃんかよ」 パリスがにかっと笑みを見せてくれたが、リュクが立ち上がった。 そして俺を睨むように見ると、ダメだと言いパリスの肩を軽く叩き、カフェを出ていってしまった。 ああ、待てよ、わりぃな。とパリスもカフェを出ていった。 俺は二人の背中を見送ると、深くため息をついてバナナラテを飲んだ。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加