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「さて、今日は何を借りるとするかな」
紅魔館の大図書館に本を借りに来るのが日課になってきた今日この頃。
テキト―にタイトルが目に入ったモノに手を伸ばしていく。
「あ、これ。たしか読んだような気がするな。まぁ、いいか、借りていこう」
読んだことがある気がしても今は覚えていないのだ。なら借りて読むしかないだろう。
こんなに沢山本があるのだから面白い本を探すのも苦労する。しかしそれが楽しいのでもある。大量の本から見つけ出した本はどれも良いものだが本当に良い本は僅かなのだ。
その僅かな本を見つけ出した時はなんと楽しいことか。
数冊の本を抱えながら探していると優雅に貧弱な体を椅子に預けて本を読んでいる少女がいた。
「よう、パチュリー」
「あら、魔理沙・・・その抱えている本は何?」
ドサドサ、と喘息持ちの魔法使いの目の前のテーブルに少し乱暴に置いた。
その際パチュリーの表情が呆れたような顔をしていたが白黒の魔法使いは気にせずに隣の椅子に座る。
「これか、借りるんだよ」
「借りるのはいいわ。ええ、いくらでもいいわ。返却をしてくれるのならね」
「ああ、返すぜ。私が死んだらな」
「ええ、そうね。聞いた私が馬鹿だったわ」
「そう言うなって。私の方が先に死ぬんだからいいじゃないか。そん時に返すよ」
「できれば貴女自身の手で返却しに来てもらいたいわね」
「ああ、死んだら無理だな。まぁ、幽々子みたいな感じになったら分からないな」
「結論は今後貴女の手で返す気はなくて死んだ後も亡霊になったら返す気はないってことね」
「ああ、そうだ。でさ、面白い本ないか?」
その発言で大きく溜息をついて目を細め眼鏡を整え直して本の文字に視線を移動させた。
これも毎度のことなので魔理沙はもちろん気にしない。パチュリーは呆れ、既に諦めている事を何度も問い詰めることが面倒になっていた。
軽く本の内容を読み飛ばしながらペラペラとページを捲り続ける。本の内容を考えるよりも魔理沙との会話の内容をパチェリーは考えていた。同じ会話でなく新しい会話をしたかったのだ。
「じゃあ、帰るとするよ」
「へ? もう帰るの」
「今日はこれぐらいの本でいいかなと思ってさ」
「そう」
「またな」
「ええ、またね」
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