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お兄ちゃんそれは香音にとって唯一一人の兄。
「香音ちゃんのお兄ちゃん?
香音ちゃんのお兄ちゃんも天国に居るの?」
瑛太は香音を見上げて言う。
「ううん、お兄ちゃんは死んでないよ
意識が戻らないの……」
ポツリポツリと香音は話し始めた。
「お兄ちゃんは優しくて誰よりも頭が良くていつも私の我が儘を聞いてくれた
あの日も」
━━━━…あの日も学校が終わって直ぐにお兄ちゃんに我が儘を言った。
『お兄ちゃん遊んで』
『こら、香音
お兄ちゃんはこれから勉強なのよ』
『良いよ母さん
香音、少しだけだぞ?』
その日もその優しさに甘えた。
『お兄ちゃん、此処に昨日ね綺麗な花が咲いてたんだよ』
そう言って少し崖を降りる。
『お前、いつもそんな所で遊んでるのか?
危ないぞ』
『平気だよ』
そう、いつも遊びなれてるから平気だった。
でも、私は花を取り上がろうとしたら足を滑らせた。
『香音!!』
お兄ちゃんの声が大声で叫ばれてその声が私には小さく聞こえた。……━━━
「あの時、私がお兄ちゃんを誘ってなかったら
お兄ちゃんは意識不明ではなかったのに……」
「私がお兄ちゃんの期待を裏切った。
お父さんもお母さんもきっと私を恨んでる……」
香音は泣きながらそう呟いた。
瑛太は小さく香音の名前を呼んだ。
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