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人一人が通れる程度のスペースを空け、目まぐるしい程にモニターの配置された広く薄暗い部屋。
「……A班、C班共に生体反応消失。……全滅です」
その内の一つニターの赤い光が"DEATH"の文字を描き、それを見ていた白衣の男が無機質な声でそう告げる。
「……ターゲットは?」
その後ろで、ヨレヨレの白衣に身を包み、ボロボロのズボンに下駄を履いた厳つい、髭面の老人が腕を組みながら口を開く。
「既にロストしました。衛星に追跡させますが、恐らく無駄かと……」
その言葉に老人は小さく舌打ちする。
「所詮はコストと人体の安全性を考慮した下らん量産品(鉄クズ)。数を揃えてこのザマか」
つまらなそうに大きなため息が一つ。
ボリボリと頭を掻く老人は白衣の男に背を向けながら、老人は言葉を発する。
「リストにある人間(ヤツ)を連れてこい。最早、量産品専用の志願者(デク)などいらん。必要なのは私の最高傑作を使いこなす、選ばれた人間だけだ」
退屈そうにそう言いながらドアを空け、老人は部屋から出る。
広い部屋に一人となった白衣の男は、別のモニターに設置されたマイクへと移動し、指示を出す。
「回収班は迅速に機械部品を回収。それ以外は手頃な場所に埋めておけ」
『……了解』
────物語はここから始まる。
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