第1章
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倒れていた男は一度大きく体を震わせると顔を上げ、血だらけの手が真っ直ぐに私へと伸ばされる。 途端、体全体に痙攣が広がり始め、心に恐怖が湧きあがっていく。 「……たの……む」 切実な瞳が私に向けられている。 男の声を聞いてやっと思考が正常に巡りだす。 彼を助けなければ……。 そう理解したとたん。 恐怖は吹き飛び、私は血溜まりの中に足を踏み入れて彼の側に近づいた。
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