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「…… だ、大丈夫ですか!」
とても自分から出たとは思えないほどのしゃがれた声。
辺りを見回して見るが、どこまでも続く白。
上も下もない、一面の白い世界だ。
ここがどこなのかわからない。
無限に広がっている真っ白な世界に彼と私だけだった。
「だ、誰かーっ! 誰かいませんか?」
無駄かもしれないと思いつつも、思いっきり大きな声を張り出してみるが返事はない。
「うぐっ……。む、無駄、だから……手を……」
苦痛に顔をゆがめている男の手がさらに私へと伸ばされる。
苦しそうにしている彼には悪いが、血にまみれた手には躊躇ってしまう。
ふと、彼と視線が合えばその必死さが伝わってきて拒否できない。
私は、恐る恐るその手に自分の手を伸ばす。
彼の手が私の手にそっと触れたとたん、突然辺りが眩く光り出した……。
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