第2章

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 幼い時から、自分の家よりも馴染んだ場所。  それを父が壊そうとしている。  何度となく繰り返される説得にも父は耳を貸してくれない。  挙句の果てに、私が男の子じゃないから道場を継がせることが出来ないとまで言い出した。  確かに女性の道場主だと、色々問題もある。  それを覚悟してでも継ぎたいと思ってた。  どんな苦労も覚悟の上なのに、父はガンとして受け入れてくれない。  私が女だから。  そんなどうしようもないことで、なぜ大切な物を失わなければならないのだろう。  どうにもならない理不尽さが悔しかった。  半年に渡る説得も通じることはなく、八方塞がり。  大切な物を失いたくないと思う気持ちだけが募っていく。  そんなある日だった……。
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