第2章

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 その時の夢は最初から何もかもが違っていた。  気づけば私は真っ白な世界に1人立っていたのだ。  真っ白な世界の中、誰もいない。  私は不安で歩き回り、そこで彼に出会って初めてこの夢がいつもの夢なのだと分かったくらいだった。  彼も私に気づいて、とても驚いた表情を浮かべている。  いつもなら彼に会った時点で目が醒めるはずなのに、夢からが醒めない。  なぜ、今回は何もかも違うのだろうか?  そう考えていた時だった。  彼が私の目の前でお腹から血が噴出して、もんどおりうつように前に倒れたのだ。  突然の出来事に、何が起きているかなんて理解出来るはずがない。  私はただ驚いてそこに立っていた。  倒れた彼から広がる血の海。  真っ白な世界に広がり出す赤い色に私の体が震えた……。
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