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教室に入ると雪乃が弁当を開けて待っていた。
「遅いよ、美優!」
「ごめんごめん。売店混んでて…。」
ぶつぶつと文句言ってるけど、私が戻ってくるまで弁当食べないで待っててくれたり…
そういう雪乃の優しい所、大好きだ。
「ありがと、雪乃。」
「分かればよろしいっ!」
雪乃は、背が高くて髪も長くて茶色だしお化粧も上手で大人っぽい。
私なんて、背伸びしても雪乃は追い越せないし、髪はまだ肩ぐらいしかないし
おまけに真っ黒だし。
ナチュラルメイクだし。
雪乃が羨ましいよ…。
とりあえず…、
いちごオレ飲も。
「あ~…やっぱ美味しい…。」
昼休みに飲むいちごオレは格別だ。
「ねぇ、知ってる?」
すると雪乃がニヤリと笑って
テレビのコマーシャルでよく聞くあの『豆●ば』のような語り口で喋りかけてきた。
「え、何ですか、雪乃さん。」
なんか嫌な予感が…。
「いちごオレの着色料は虫なんだよ。」
…………。
なんでいちごオレ好きな私に言うのよ。
「あれっ、無反応?」
「雪乃、あげるよ。」
私はすっ…といちごオレを差し出した。
「ラッキー!ありがと美優っ。」
そう言って、雪乃は何食わぬ顔していちごオレを飲み干した。
なんか、私この子には絶対に勝てない気がするよ…。
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