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「佐野は、有名だもんな。」
「は?」
私が、有名?
何それ、初耳。
思い起こしてみても、なかなか思い当たる節がない。
「…ぶっ!くっ…くくっ…。お前、自覚してないの?」
私がキョトンとした顔で見上げると、そこには滅多に笑わない仁科先生が綺麗な顔を緩めて笑ってた。
「――…そういう顔だよ。」
茶色の瞳は私をしっかりとらえていて。
「私の、かお?」
「うん。世の中の男は皆、そういう顔に弱いんだよ。……純粋そうに真っ直ぐ見つめてきて。」
仁科先生が高くから見下ろしてて
「だから、壊したくなる。」
そう呟いた。
私には仁科先生が言ってる意味がよく分からない…。
けど、私の身体中の血液はどんどん加速していって、勝手に顔を熱くさせる。
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