16人が本棚に入れています
本棚に追加
「佐野…。」
先生の瞳が一瞬、切なげに見えた。
「せっ、先生…」
先生に見つめられて、立ち上がろうとするけど腰が上がらない。
―――…近い。
先生は俗に言う『う●こ座り』をして、私と先生の目線は同じ高さに。
先生が私の後ろにある桜の木に、腕をついた。
近づく、先生の顔。
―――…やばい。きっ、キスされるっ…!?
本能的にギュッと目を瞑る。
ふわり。
あ、先生の香り…?
目を閉じている分、嗅覚が先生の爽やかなシトラスの香りをとらえた。
「佐野…。」
「…ひゃッ」
私の耳元で低くて甘いその声に囁かれて、私のカラダは反応せずにはいられない。
「…いい鳴き声。」
そう言って、先生の香りが離れていった。
最初のコメントを投稿しよう!