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あの日、先生と出会ってから何事もなかったかのように時間は過ぎていった。
「みーゆうっ!」
「わぁっ?!」
体育の授業で皆がバレーをしている中、私はぼんやり見学していると…飛び付いてきたのは
最近、仲良くなったばかりの 白井 雪乃(シライ ユキノ)だった。
「雪乃かぁ、びっくりしたじゃん…。」
「美優、サボりはいかんよ~?」
なんて、おじさん口調で言ってくる雪乃。
「ごめんなさーい。」
「なんだね、その謝り方は~。誠意がこもっとらんぞぉ?」
「雪乃、気持ち悪いっ。」
こんなやり取りが可笑しくて、二人して笑っていた。
すると。
後ろから聞こえたのは。
「おいコラ、サボってんなよ佐野。」
――――仁科せんせ…。
ドキンと跳ねる心臓。
「佐野は本当にサボり魔だな…。」
呆れたように言う先生。
…やっぱり、覚えてたんだ。
「サボってなんか…。」
ねぇ、雪乃っ。と言おうとして隣を見ると
雪乃はもうそこにいなかった。
「雪乃っ?!」
慌てて、見渡すとサーブ練習をしていた。
雪乃はチラっと私の方を見て、『ご・め・ん』と口パクで謝って。
でもその表情はどこか楽しげだった。
「雪乃~…。」
しょんぼり。
「佐野。放課後、体育教官室に来い。」
「えぇっ!」
あの日の映像がフラッシュバックする。
「何、赤くなってんだ。サボった罰だよ。」
罰って…鬼だね先生。
「はぁ~い…。」
私はボールを手に取り渋々返事をした。
放課後…行くしかないよね。
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