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こうして、今にいたるわけなんだが。
なんで?なんでこんな危機的状況に陥ってんの?
「書類の通り、ミズキ=ヨシカワ、14歳でよろしいんですよね?」
「……はい…」
向こうが話すたび、こっちが答えるたびにナイフが、ナイフが…。
「14歳ですか。ならばあの、何て言うんでしたっけ。小学校じゃなくて…」
「…初学校ですか」
「ああ、そうそう。それです。初学校は卒業していますよね。その後の4年間のことが書いてないんですが、何をされていたんですか?」
「山にこもって修行していました」
適当に前々から用意していた嘘を言う。
「へぇ。山にこもって修行?かははっ。そりゃいいや。今度オレも行ってこようかなー?」
「ご勝手にどうぞ」
グラサンナイフ男が茶化すが、帽子の子は素っ気ない反応。
先ほどからの様子から察するに、何事に対しても無関心のようだ。
と、ナイフがするりと視界から消えた。
「トイレ行ってくるー」
グラサンナイフ男が気の抜けた声で部屋から出ていこうとする。
「いってらっしゃーい」
帽子の子がひらひらと手をふった。
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