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大逆転ホームランだ。
もうダメだと思ったのに。
「だいすきですよ、先輩」
「ん……」
髪を撫でていると、次第に先輩の反応がなくなっていた。
代わりに聞こえるのは、スースーと言った寝息。
よく見ると、先輩の目は腫れていて、うっすらクマがある。
昨日、眠れなかったんだろうか?
その痛々しい跡が、俺のせいだとしたら……二度としないと心に決めた。
「もう、絶対手放しませんよ」
昼休みの終了を告げる鐘が鳴る。
だけど、こんな幸せな時間を自分から壊すなんてことはしない。
俺はゆっくり目を閉じた。
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