1

19/21
前へ
/528ページ
次へ
ばかみたいなことを連発する萩原。 かわいい、なんて誉め言葉じゃねーし、やたらスキンシップとろうとするし。 キスなんて、二回もしやがって。 もーー、やだ。 「先輩、こっちにきて」 腕をぐいっと引っ張られる。 「なんだよ、もう」 チリンチリン 自転車の音が後ろから聞こえてくる。 … … ……まさか。 じっと萩原の顔をみると、「ん?」と眉毛が上がる。 俺は恥ずかしくて心と裏腹な言葉を発してしまった。 「女扱いすんなよ、ばーか」 苦笑する萩原が、ふわあっと俺の頭を撫でた。 何も言わず。 「ちょ、髪型崩れるんだけど」 「はいはい」 そう言いながらも、萩原は一向に手をおろさなかった。 ―――― 家に着く。 どっと疲れたので、ネクタイを緩めながらベッドにダイブした。 萩原。 俺が文句を言っても、ずーっと笑っていたな。 常に、俺を見ていた。 あーー、マジ変態だ。 はやく弱みを探さないと。 キスもあんだけうまけりゃ、あっちの方もさぞかし上手かろう。 ってか、アイツ。 俺を抱きたいって言ってなかったっけ……? .
/528ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9000人が本棚に入れています
本棚に追加