9000人が本棚に入れています
本棚に追加
ばかみたいなことを連発する萩原。
かわいい、なんて誉め言葉じゃねーし、やたらスキンシップとろうとするし。
キスなんて、二回もしやがって。
もーー、やだ。
「先輩、こっちにきて」
腕をぐいっと引っ張られる。
「なんだよ、もう」
チリンチリン
自転車の音が後ろから聞こえてくる。
…
…
……まさか。
じっと萩原の顔をみると、「ん?」と眉毛が上がる。
俺は恥ずかしくて心と裏腹な言葉を発してしまった。
「女扱いすんなよ、ばーか」
苦笑する萩原が、ふわあっと俺の頭を撫でた。
何も言わず。
「ちょ、髪型崩れるんだけど」
「はいはい」
そう言いながらも、萩原は一向に手をおろさなかった。
――――
家に着く。
どっと疲れたので、ネクタイを緩めながらベッドにダイブした。
萩原。
俺が文句を言っても、ずーっと笑っていたな。
常に、俺を見ていた。
あーー、マジ変態だ。
はやく弱みを探さないと。
キスもあんだけうまけりゃ、あっちの方もさぞかし上手かろう。
ってか、アイツ。
俺を抱きたいって言ってなかったっけ……?
.
最初のコメントを投稿しよう!