9000人が本棚に入れています
本棚に追加
差し出された三国志のカードの中にはレアカードもあって、ボクは興奮してしまった。
「遠藤、本当に好きなんだな」
「うん!だってさ、ワクワクしない?」
彼は苦笑しながらも、ボクに体を寄せてカードの説明をする。
ボクとは違うタイプ――知宏と同じ華やかな人種だというのに、三国志への知識が深くてびっくりだ。
「なあ、これから一緒に対戦しに行かないか?」
思わず頷きそうになるが、ボクは慌てて首を横にふった。
「と……長田くんを待っているから、今日は行けないよ」
「そうか。じゃあ、また誘うよ」
「うん!」
ボクは純粋に対戦仲間が増えて嬉しかった。
しゅーもカードゲームをやっていたけれど、今は洋服や美容院代にお金を使うことを優先にしてしまい、なかなか対戦することがなかったからだ。
「遥!」
いつのまにかサッカー部の練習が終わっていたらしい。
ドアを勢い良く開けて知宏はボクを迎えに来てくれた。
「せっかくだから、一緒に帰る?」
ボクは対戦仲間をみつけられて、少し有頂天になっていたと思う。
その言葉を後々後悔するなんて思いもしなかった。
.
最初のコメントを投稿しよう!