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「遥、以前より明るくなったって皆言っているよ」
「ふえ……?」
「木場みたいに……隙あらば遥に話しかけようとしている奴ら、たくさんいるんだ。だから、俺はなるべく遥の隣にいるようにしているんだけど」
どう反応していいかわからず、黙っていると知宏は情けない顔でボクをみつめた。
「俺、今まで苦労したことなかった。普通にやっていれば、友達もできたし彼女もできた。だけど……、遥のことになると途端に不安になるんだ。俺より話が合う奴ができたら、そっちにいっちゃうんじゃないかって」
ボクは知宏の頬に手を伸ばし、じっと彼の顔をみた。
いつも笑っている顔しかしていない彼の、喜怒哀楽の表情を全てみたことがあるひとは何人いるだろうか。
ボクは言葉にできない思いをそっとキスに込めた。
「知宏、だいすきだよ。ボクはたとえ知宏が柔道やっていても、レスリングやっていても、知宏に恋している」
「遥……」
「知宏だってそうでしょ?ボクよりサッカーの話できるひとは何人もいる。だけど、ボクが知宏の中で一番でしょ?」
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