1

5/21
前へ
/528ページ
次へ
「……っだよ、萩原」 「ストレッチ、一緒に組みませんか?」 ニコッと爽やかな笑み。 だが、断る。 「俺、克也と組むから」 「飯島先輩は、もうストレッチはじめてますよ」 「ふえっ、嘘!?」 すでにストレッチをはじめている連中の中に克也の姿がある。 最悪だ。 「やりましょ?」 「…わかったよ!」 俺のイライラしている言葉にも、萩原は笑った。 「先輩、結構体柔らかいですね」 ストレッチの最中も減らず口叩いている。 「おまえさ、いつもそんななの?もうちょっと真面目にやれよ」 俺は私情も挟みつつ、叱り付けると萩原はニンマリとした。 「やだな、先輩と組んだからですよ」 つい、嬉しくて。 なんて、笑いながら言われて。 ゾクッ 鳥肌が再び立つ。 コイツの人懐っこさ、尋常じゃねえ。 俺はあまりの気持ち悪さに、萩原が話し掛けてきても徹底的に無言を貫いた。 笛の音が鳴り、俺はすぐさま萩原から離れ、克也へと駆け寄る。 「克也のバカたれ」 「は?ちょ、弁慶蹴るのマジ禁止!」 「聞く耳もたん!」 俺は勢い良く、克也を蹴った。 .
/528ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9000人が本棚に入れています
本棚に追加