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「……っだよ、萩原」
「ストレッチ、一緒に組みませんか?」
ニコッと爽やかな笑み。
だが、断る。
「俺、克也と組むから」
「飯島先輩は、もうストレッチはじめてますよ」
「ふえっ、嘘!?」
すでにストレッチをはじめている連中の中に克也の姿がある。
最悪だ。
「やりましょ?」
「…わかったよ!」
俺のイライラしている言葉にも、萩原は笑った。
「先輩、結構体柔らかいですね」
ストレッチの最中も減らず口叩いている。
「おまえさ、いつもそんななの?もうちょっと真面目にやれよ」
俺は私情も挟みつつ、叱り付けると萩原はニンマリとした。
「やだな、先輩と組んだからですよ」
つい、嬉しくて。
なんて、笑いながら言われて。
ゾクッ
鳥肌が再び立つ。
コイツの人懐っこさ、尋常じゃねえ。
俺はあまりの気持ち悪さに、萩原が話し掛けてきても徹底的に無言を貫いた。
笛の音が鳴り、俺はすぐさま萩原から離れ、克也へと駆け寄る。
「克也のバカたれ」
「は?ちょ、弁慶蹴るのマジ禁止!」
「聞く耳もたん!」
俺は勢い良く、克也を蹴った。
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