Prologue

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「ゆぅく~ん!早いよぉ…」 「急ぐって言ったのは栞じゃなかったか?」 「でも~…」 まぁ、無理もないかな。俺の家から学校までは徒歩30分はかかる。 それを今日は 走りに走って、10分ちょっとでようやく… いや、まだバテるには早いぜ、栞。 「うわぁ……」 栞がため息を漏らしたそこには… 学校までの最終関門、全長300メーターの坂道が待ち構えている。 「ゆぅ君~もう良いよ~ここで二人で入学式やろ~?あ!二人っきりなら結婚式の方が良いかなぁ?」 「何バカなこと言ってんだよ?ほら行くぞ!」 「あう~…」 歩き疲れた栞を引きずって、坂道を登ろうとするが… 「もう疲れた~。ゆぅ君おぶって~」 とか言う始末。こりゃだめだな……ん…? 「その手があったか!!」 「ふぇ!?」 そう言って俺は、栞をお姫様抱っこして、坂道を駆け上がって行く。 「ちょ、ちょっとゆぅ君!?」 顔を真っ赤にしながら降りようとする栞だが、全く力がないので無駄な抵抗だった。 「大丈夫だって!俺達は遅刻してるんだから、誰も通学路に居るはずないだろ?」 「………………」 ゆでだこになる栞を横目に、俺は校門に向かって走って行った。
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