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「美亜?どうしたのだ?」
「ううん。何でもない。少し、考え事してただけ」
「そうか。もうすぐ夕食の時間だ。よろしく頼む」
「うん」
返事をすると、その男の人は部屋から出て行った。
(ナカツ ミア)
あたしの名前は、中津美亜。
ここの家で住まわせてもらってるかわりに、家事を全部してるの。
食事、洗濯、掃除。
何から何まで、全部、あたしの仕事。
それが、住まわせてもらうための条件だから。
まぁ、働くのは嫌いじゃないから、別に苦じゃない。
暇な時間を過ごすより、忙しい方がいい。
思い出さなくていいから。
何も考えなくていいから。
どうしてあたしなんだろう……?
何で、あたしだけ?
はぁ……。
あたしは立ち上がり、夕食の準備をするため、調理場へ向かった。
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