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「聞いて!今日、転校生来るらしいよ!」
高2の二学期の初めの日。
朝の2-Aの中に一人の女子生徒が話題を持ち込んだ。
「マジ!?女?」
「亮輔は女しか頭にないのかよ」
「ウッセー、バカ」
この話題で、クラス中が騒ぎ出す。
「で?どっちなの?」
亮輔と呼ばれている、金髪でショートヘアーの男が尋ねた。
「ふふん。オ・ト・コ」
これを聞いて、正直残念がる男子。
かすかに喜び、期待する女子。
全く…相変わらずくだらない…
ほんとみんな子どもなんだから…
一番後ろの席から、クラス全体の様子を把握すると、つまらなそうな顔をして、窓の外の景色に目を移す。
鳥っていいな…
窓の外の電線に掴まる鳥を見ながら天木 翔子は思った。
何も悩みなさそう。
こんなくだらない関係なんてなさそう…
うわべだけの取り繕いの必要な世界がなさそう。
ってそれは、人間以外はみんなそうか…
自分の言ったことに自分でツッコんでしまい、思わず笑みがこぼれる。
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