いつものしあわせ

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そして、 僕は愛美達の所に行くと、 座り込んでいる亜柚に 手を差し延べる。 亜柚は僕の手を一瞥して 僕を見た。 何、この手? といいたげだ。 「立てないんでしょ?」 僕はそう首を傾げて聞くと、 亜柚はジロリと見た。 相変わらず、 素直じゃないこと。 そう苦笑しながらも、 亜柚の手持ち、腰を支え、 ゆっくりそっと立たせた。 手を持った時に 断らないのは 嫌がってない証拠。 ホント不器用な性格だよ。 「ありがとう。」 亜柚はそう言って、 顔を背ける。 その仕種も愛おしいと 思うのは 幸せなんだなって思う。 「いいよ。  それより、  あんまり怒ると  身体に障るよ?」 「怒らせるのはいつも  要でしょ。」 そうふんっとそっぽ向く。 「はいはい。」そう言いつつ、 頭を撫で、 「亜柚とお腹の子が  僕は大事なんだから  無理しないでよ。」 そう優しく微笑んだ。 亜柚は静かに頷くと、 「おかえりなさい。」 と、笑顔で言ってくれた。 「ただいま。」 「はいはい、  相変わらず  お熱いことで。」 愛美はため息交じりで言った。 亜柚はすっかり、 周りのことが 見えていなかったのか 少し顔を赤らめていた。 「何だよ。  愛美、うらやましいなら  早く結婚すれば?」 そうふんっとして、 言ってやった。 愛美は「何~!」と 掴みかかろうとするが、 母さんに止められる。 「亜柚ちゃんと要が  仲良くてうらやましいのを  認めなさい。愛美。  そして早く結婚しなさい。」 母さんにも言われ、 愛美はしゅんっとなる。 (ふんっ…今回は勝ったね♪) そうニヤついていると、 それがわかってか 愛美が睨んでいた。 (怖;) 「さぁさぁ、  皆揃ったんだから  夕食にしましょう。  あなた、  沙璃ちゃん、平都君  早くいらっしゃい。」 母さんの声に 皆が動き出す。 皆が部屋に行くと、 僕も亜柚の手をとり、 一緒に向かった。 これが僕の大切な家族で、 大切な幸せ。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ .
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