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「あら、マジよ?私、はーちゃんとは幼なじみなのよ」
はーちゃんとは、再婚相手の市之瀬隼人さんの事だろうか…。
母は誰彼構わず変なあだ名を付けるのが好きだ。
「はーちゃんは今まで家庭の援助も少ししてくれてたのよ?」
それにね、と母は続ける。
「四年前くらいからプロポーズをされてたんだけど、若葉がまだ小さいからって待っててくれてね、ついこの間またプロポーズしてくれたのよ」
母がうっとりと左手の薬指にはめた指輪を見つめる。
なんだと…
そんな前から…すげえ、四年越しのプロポーズすげえ。
それに今まで金銭的な援助までしてくれていたとは。
しかし母は俺を産む前から正社員として働いていて、俺が小さい頃に父が亡くなったが、生活はそれほど困窮している訳では無かったはずだが。
まぁ子どもには分からない何かがあるのだろう。
「だから、」
頬を染め、目をキラキラと輝かせながら母は言葉を紡いだ。
「もう若葉も中三だし大きくなったので、プロポーズをお引き受けしました」
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