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新しい家族に会いに行くため、母に連れられ郊外から電車を乗り継いでやって来たのは、二十三区内の高級住宅街として知られる所。
市之瀬隼人の家というと……。
凄く…大きな門構えのお屋敷。
テレビで見たような、立派な洋風の建物。
緊張して固まる俺を尻目に、まるで緊張感の無い蕩けるような笑顔を浮かべた母親が門の脇にあるインターホンを押すと、
門が自動的にゆっくりと開いていった。
玄関に入ると、スーツを着た執事の様な男の人が居間まで案内してくれた。
「すご…」
居間はとても広く、今住んでいるマンション3LDKの部屋がすっぽりと入ってしまいそうな程だった。
これがセレブのお宅か。
「夏樹、わざわざ悪いね」
驚きすぎてぼおっとしていたらしい。
いきなり声が聞こえて前方を見ると、男が目の前に立っていた。
「良いのよ、はーちゃんは忙しいんだしやっと取れたお休みなんでしょ?」
母が嬉しそうに頬を緩めながら話している。
この人が市之瀬さんか…
イケメンである。
「で、この子が若葉くんか」
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