0人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうだなぁ、堅苦しいのは無しだよ、若葉」
なんだろう、胸の中がポカポカと暖かい。
隣を見ると、母も目を潤ませながらも微笑んでいる。
なに感動してるんだよ、恥ずかしいな。おかしくて、自然と笑みが溢れてきた。
「これからよろしくお願いします」
もうひきつった笑みは浮かべない。
母と顔を見合せ、微笑んだ。
それから母と市之瀬さん、父は婚姻届を提出して、晴れて俺たちは市之瀬家の人間となった。
暮らしていた3LDKのマンションを引き払い、市之瀬宅へと家財道具やらを運び込んだ。
家具が運び込まれた新しい自分の部屋は、以前のマンションより広い部屋だ。
片付けを終えて、ベッドにばふん、と音を立てて飛び込んでみる。
仰向けになって見上げてみる。以前のマンションよりやっぱり天井も高いな。
しばらく寝転がりながらぼうっと天井を見ていると、
部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「はい」
起き上がってドアを開ける。
ドアの前に立っていたのは市之瀬、もとい父さんだった。
「片付けは住んだかい?」
「あっ、は…うん、今終わった所!」
敬語を使わないように話してみると意外とすんなりした。
父さんは嬉しそうにニコリと微笑み、
「ちょっと突然なんだが、話があるんだけど…良いかな?」
少し笑顔を曇らせて言った。
最初のコメントを投稿しよう!