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*織り姫side*
…明日の夜、やっと。
彦星に逢える。
大好きな、彦星に。
私は、明日の為と言っても過言ではないくらい
頑張って機を織っていた。
今も織っているけれど、
いつもと気持ちが違うので
指先が、心なしか踊る。
…けれど少し不安。
それは、この天気のせい。
窓から雨が降っているのが見える。
暗い夜を、さらに暗くする雲が
村を覆っている。
しとしとと降る雨をよそに
今は機を織るしかない。
私には、どうすることもできないのだから。
機織りを終え、布団に寝転がった。
溜まった疲れが一気に放出される。
「明日…どうか雨が止みますように」
そう呟き、私は目を閉じた。
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