きみのこと

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 もう、20年近くも昔の事なのに。  雪の季節になると、思い出す。  田中君の、まっすぐな瞳と、曇りのない、笑い顔。  あれから私も大人になって、変わった部分も多いと思う。 「光流」  名前を呼ばれ、振り返ると、大好きな人が手を振りながら、こちらへ歩いてくる。  目を細めて笑う、背の高いその人を見上げて、私も笑った。  自分の気持ちに、正直でありつづけること。  小さな田中君が、小さな私に教えてくれた。  それは、幸せの秘訣。  大好きな人に、大好きと、伝えられますように。 おわり
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