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「よう、どうした。こんなところに呼び出して」
その顔を見るだけでも反吐が出そうだった。
人気のない、広く、しかし寂れた公園。
この時間帯に人が来ることはない。ここ数週間、この公園に通いつめて、調査済みだった。
周囲に住宅も少ない。
車の通りも少ない。
「どうした。腹でも痛いのか、険しい顔をして。呼び出したからには、理由があるんだろう?」
しかし、大声を出されれば、誰かに気付かれる可能性はある。
やるなら確実に、一刺しで……心臓を……。
「おい、何とか言えよ。ん? 手に何を持ってるんだ。そうか、ちょっと早いが、金を持ってきたのか。感心感心。じゃ、さっさとよこしな」
にやけ面が近づいてくる。
手が、足が、心臓が震える。
やるんだ、やるしかないんだ。前に進むにはもう、それしか道が残されていない。
「おい、お前、何を……?」
足を踏み出す。
手を突き出す。
白銀の刃が、するりとあいつに吸い込まれていった。
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