1人が本棚に入れています
本棚に追加
あの頃、いつも下を向いて
歩いてた。
空を見上げても私を照らす
太陽なんてなかったから。
それどころか、いつも私の心
は雨だった。
そんなトキに見付けたのは
何処にでも存在(あ)る
小さな石だった。
辛くて、悲しくて、淋しくて、空を見る気になれなくて、でも…その小さな石は、どんなトキでも側に存在(あ)った。
そんな小さな石を見つめていると、何故か心が暖かくて、孤独(ひとり)じゃないと思えた。
ずっと側に存在(い)てくれる。
ずっと私を見ていてくれる。
どうしてだろう。
理由が分からずにいた私に
小さな石が話し掛けた気がした。
だから、その小さな石を拾い上げた。
そして、気付いたんだ。
あぁ…この小さな石は、私を照らす大きな太陽だったんだって。
私は、下を向いて居たのではなく、空を見上げて居たんだって。
だって、拾い上げた小さな石は、驚くほど暖かくて、優しかったから。
小さな石が側に存在(あ)るだけで、心の雨は止んだから。
やっと見付けた
私の小さな石(太陽)。
絶対に失くさない。
だから、いつまでも
この両手に大切に包み込んで
離さないようにしよう。
…―もう二度と心に雨が
……―――降らないように…
~fin~
.
最初のコメントを投稿しよう!