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「食わないんだったら、こんなモノ作った意味がない。」
そう言って、投げ捨てた釜は
ワタシの足の上に鈍い音をさせて落ちた。
「いっ……これはワタシが作ったんじゃん!」
心から叫んだ。
お母さんには、届かなかったけど。
「どうせ食わないんだから米も炊飯器も捨てちまえ。あーぁ、何のために仕事してったろっか。明日、会社に行ったら止めるって言わねえと。」
………何の為に…
どうして…ワタシを産んだの?
お母さん。
此処まで、19年間耐えてきたケド…もうムリみたい。
だって、ワタシの手に握られてるの…包丁だもん。
これで此処(心臓)を刺したら、楽になれるんでしょ?
自殺者は地獄へ逝くって言うけど、それでも構わない。
この苦しみから一瞬でも解放されるなら、地獄だって何処だって逝ってやる。
さよなら…お母さん…
高く振り上げた包丁を
心臓、目掛けて振り下ろそうとした時に初めて気が付いた。
自分が泣いてる事に…。
声すら、あげずに泣いていた。
そして…思い出した。
大好きな人との約束を。
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