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アウラは女?
ぬかるんだ道を歩いていくなか、アウラは顔を曇らせる。黒い靴に、灰色の泥が付く。アウラは転びたくない。アウラはできればまっすぐ、華麗さを損なわず歩きたい。
たとえ帰り道、誰も見ていなくても。
道には足跡が轍として残っていて、みなそれぞれの歩き方を示している。その足跡を見ていると、自分の足運びがおろそかになる。すると転ぶ。
だから、転んだ。
アウラは泥に着地した自分の顔を少し上向け、起き上がらずにその目の先に何があるか確認する。曇り空の下。
地面は、近くから見ると茶色がかっていた。
轍の、靴の裏の模様さえもよく見えた。
息を止める。アウラは息を止めても、支障がないことを認める。
瞬間、二本の足。
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