アウラは女?

1/4
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/151ページ

アウラは女?

 ぬかるんだ道を歩いていくなか、アウラは顔を曇らせる。黒い靴に、灰色の泥が付く。アウラは転びたくない。アウラはできればまっすぐ、華麗さを損なわず歩きたい。  たとえ帰り道、誰も見ていなくても。  道には足跡が轍として残っていて、みなそれぞれの歩き方を示している。その足跡を見ていると、自分の足運びがおろそかになる。すると転ぶ。  だから、転んだ。  アウラは泥に着地した自分の顔を少し上向け、起き上がらずにその目の先に何があるか確認する。曇り空の下。  地面は、近くから見ると茶色がかっていた。  轍の、靴の裏の模様さえもよく見えた。  息を止める。アウラは息を止めても、支障がないことを認める。  瞬間、二本の足。
/151ページ

最初のコメントを投稿しよう!