枕草子の巻

4/4
前へ
/32ページ
次へ
[雪のいと高う降りたるを] 雪がたいそう高く降り積もっているのに、いつものようでなく御格子をお降ろし申して、話などをして女房たちが集まりお仕えしていると、定子様が私に、 「少納言よ。香炉峰の雪はどのようでしょうね」 とおっしゃるので、私は女官に御格子を上げさせて、自分で御簾を高く上げると、定子様はにっこりと笑いなさる。 集まっていた人々も、 「白氏文集のことは知っているし、和歌などにまで読むけれど、ここで簾を上げることは思いもよらなかった。やはり清少納言はこの宮の女房としてふさわしいようだ」 と言う。 [第二九九段]
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加