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宇津の山に着いて、自分が入ろうとする道は、たいそう心細い上に、蔦や楓まで茂り、なんとなく心細く、思いがけなく辛い目にあうことだと思っているときに、修行者が来合わせた。
その修行者が、
「このような道にどうしておいでになるのですか。」
と言うのを見ると、その人は都で見知った人であったよ。
都に、あの人のもとに届けてほしいと思って、手紙を書いてその修行者に託す。
駿河にある宇津の山近くまで来てしまって、現にも夢にもあなたにお会いできないことですよ。
富士の山を見ると、五月の末だというのに、雪がたいそう白く降り積もっている。
時を知らない山は富士の山だ。
一体今をいつと思って鹿の子まだらに雪が降り積もるのであろうか。
その山は、京に例えるなら比叡の山を二十ほど積み上げたくらいであって、形は塩尻のようであった。
更にもっと進んでいって、武蔵の国と下総の国との間に、たいそう大きな川があるところに出た。
その川を隅田川と言う。
その川のほとりに集まって座り、都に思いを馳せると、はてしなく遠くまで来てしまったものだなあと心細く思って嘆きあっていると、
船頭が、
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