Revenge - 幸子 -

10/30
前へ
/30ページ
次へ
幸子の中で何かが警鐘を鳴らす。 ……分かってる。 これが罠なのは分かっているわ。 でも、ここまで来て 引き下がれない! 罠だと分かっているのだから 心してかかれば大丈夫。 幸子はゆっくりと その部屋の呼び鈴を押した。 中で鳴っているようだが…… 応答はない。 もう一度押す。 やはり応答はない。 ノックをする。 応答はない。 幸子は さすがに少し迷ったが…… ドアノブに手を伸ばした。 気をつけて、気をつけて…… 回して、引いてみる。 『カチャッ』 開いた…… 恐る恐るさらに引く。 中が覗けるくらい開ける。 玄関の中は暗いので 目が暗がりに慣れず…… よく見えない。 隙間から目をこらして見る。 目が暗さに だんだん慣れてきた時…… 玄関の中に ひとが立っていることに 気付いてギョッとした。 「キャッ!す、すみません!」 相手は何も言わない。 しかも、微動だにしない。 なんだか奇妙な感じがして 幸子は大きくドアを開け放った。 「ヒィッ……!」 辛うじて、悲鳴を噛み殺した。 その「ひと」は…… 床から浮いていた。 正しくは…… 天井からぶら下がっていた。 ……ロープを首にかけて。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加