Revenge - 幸子 -

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男はそう言うと 心の底から楽しそうに 笑っていた。 「やり方?  やり方は簡単だよ。  憎い、呪ってやりたい相手が  大事にしているものや  いつも身に着けている  モノを握り締めて……  そいつの不幸を願うだけ!」 「結果?  そりゃ、大成功だったね!  俺自身……  半信半疑だったんだけどね。  みるみるうちに  不幸になっていったよ。  坂道を転げ落ちるように……  しまいに発狂して自殺さ!  俺は、家で酒でも呑みながら  ヤツの不幸を願っただけ。  こういうのを……  『安楽椅子殺人』とでも  言うのかな?アハハ!」 「あ、びっくりした?アハハ!  冗談だよ、冗談!  そんなので人を殺せたら  人類とっくに滅亡してるさ!」 幸子の複雑な表情と顔色を見て 男は「冗談だ」と笑って 取り繕ったが…… 幸子にはそうは思えなかった。 このひとは本気だわ…… その時の 男の顔を思い出すと寒気がした。 口許に薄ら笑いを浮かべ 自慢げに、傲慢に…… 自分に陶酔しきって 楽しげに話す男。 ランランと光る目だけが 笑っていなかった。 あたしはこれから どんな目にあうんだろう……
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