11人が本棚に入れています
本棚に追加
自分のプライドを
傷つけた者への制裁。
決して赦しはしない、と!
幸子は恐ろしくなり
震える手で慌てて電話を切った。
すぐに携帯電話の設定を
「非通知の電話を受けない」
に変更する。
心臓がまだ痛いほど
早く打っている。
幸子は必死に
落ち着こうと努めた。
「大丈夫、大丈夫……」
自分に
言い聞かせるために呟く。
ようやく
パニックから抜け出した幸子は
さっきの電話のことを
考え始めた。
そして……
あの電話があの男からだ!、
という思いつきに
なんの根拠もないことに気付き
臆病な自分に腹が立った。
「気のせいよ、気のせい!」
嫌な気分を祓い
自らに言い聞かせるように
幸子はそう声に出した。
その時……
また携帯電話が鳴った。
幸子はビクッとしたが
「非通知」の電話を
受けないように設定したことを
思い出し……
少し安堵する。
ディスプレイを見ると
「公衆電話」と表示されている。
鳴り続ける電話を手に
幸子は立ち尽くしていた。
幸子の母は
携帯電話を持っていないので
公衆電話から
かけてくることがある。
これは、母からなのか……
それとも……
最初のコメントを投稿しよう!