Revenge - 幸子 -

7/30
前へ
/30ページ
次へ
母からであれば 急ぎの用である。 母からでありますように と祈りながら…… 幸子は恐る恐る 通話ボタンを押した。 「……もしもし……」 電話の相手は…… やはり無言。 「……もしもし……?  お母さん……?」 ……応答はない。 「なんなの、一体!誰なの?」 相変わらず無言だが クスッと笑い声が 聞こえた気がした。 「いいかげんにしてっ!」 幸子はそう叫ぶと 電話を切った。 そして幸子は すぐに実家へ電話をかける。 「……もしもし、あたし、幸子。  いまね、公衆電話からの  電話が鳴ってたけど  出られなかったから……  お母さんかもと思ったけど  家にいるんだから違うよね。  え?ううん、大丈夫。  間違い電話よ。  ……じゃなかったら  用があったらまた  かかってくるでしょ。  うん、うん。  わかった。  じゃあ、またね。」 母ではなかった。 では、誰が…… やっぱり、あの男が…… いや、そんなわけないわ…… 考えすぎ! 幸子は自分に言い聞かせる。 さて、早く出かけなくっちゃ。 嫌なことは考えないようにして 楽しい晩を過ごしてこようっと。 幸子は嫌な気持ちを 払拭させるかのように 勢いよく玄関のドアを開けた。 「ヒッ……!」 声にならない声が出る。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加