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幸子は玄関の外へ出ると
辺りを見回した。
特に人影はない。
……見られているのね。
……あたしは見張られている。
幸子の部屋は
マンションの5階である。
エレベーターは
1階で止まっている。
幸子は階段も
見に行くことにした。
廊下を進み……
階段の少し手前まで行くと……
何かが落ちている。
近寄ってよく見ると……
あの虫の死骸だ。
あの虫の死骸をばら撒き
回収した人間は
階段を通ったのだ。
幸子は階段を下り始めた。
その人間は
よほど慌てていたのか……
階段のところどころに
ポツン、ポツンと
虫の死骸が落ちている。
虫の死骸を辿り……
4階まで降りた。
死骸はさらに
下へと続いているようだ。
3階への階段を下り始める。
虫の死骸は相変わらず
道しるべのように
ポツリポツリと落ちている。
そして、3階まで降りると
道しるべは階段から外れ……
部屋のある廊下へと
向かっている。
幸子は、虫の案内どおり
3階の廊下へと進んでいった。
注意深く廊下を進む。
道しるべは
ある部屋の前で途切れていた。
それっきりその先にはない。
幸子は
その部屋のドアに向き直った。
表札は出していない。
罠ね。これは罠だわ……
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